健康・美容に関する悩みをAIに相談しますか?

——1,040人の調査から見えた、生成AIが変えるH&Bの購買ジャーニー
「腰痛を和らげるストレッチは?」「自分の肌悩みに効く保湿クリームは?」——。
検索窓に単語を打つのではなく、会話を重ねてAIに相談する。そんな経験から「AIが提案してくれた商品なら試してみよう」と購入に至った方も多いのではないでしょうか。
AIはもはや単なる検索ツールではなく、生活者の購買行動の「相談窓口」になりつつあります。では実際のところ、生活者はどれくらいAIを参考にし、商品を選んでいるのでしょうか?
今回は「ヘルス&ビューティー(H&B)」領域をテーマに、生活者のリアルなAI活用実態を調査しました。
📌 この記事のポイント(Executive Summary)
・【接点】 ChatGPT・Geminiは、Instagramや@cosmeを超える「新たな情報接点」になって いる(利用率20%超)。
・【役割】 AIの主戦場は「買い物の瞬間」ではなく「何を選べばいいか分からない悩み相談」の段階。
・【効果】 AI相談者の64.3%が「ノーマークだった新商品」を、54.1%が「購入予定がなかった商品」を購入している。
・【メーカーへの示唆】 SEO(検索される商品)からAIO(AIに相談されたときに推奨される商品)への情報設計のシフトが必要。
なぜ今、この調査を行ったのか?
生成AIの普及により、生活者の情報探索行動は大きく変化しています。とくにヘルス&ビューティー(H&B)領域は、「特定の指名ブランドを探す」こと以上に、「肌・髪・身体の悩み」や「自分に合うものを知りたい」という漠然としたニーズから情報探索が始まる傾向が強くあります。
そこで今回、AIがH&B購買プロセスの「悩み・情報探索・商品探索・比較・購入」の各段階にどう関与しているかを徹底調査しました。
結論からお伝えすると、AIはH&B商品の単なる「検索手段」を超え、「悩み相談から始まる新しい購買の入り口」になっていました。

情報収集において、AIはすでに「メジャーな情報接点」へ
まず、H&Bの情報収集や比較・検討で利用しているチャネルを聞きました。

- 1位:Google・Yahoo!などの検索エンジン(41.3%)
- 2位:Amazon・楽天市場などのECサイト(33.2%)
- 3位:ドラッグストアなどの店頭(32.5%)
- 4位:YouTube(28.8%)
ここまでは従来の想定通りです。しかし、注目すべきはその次でした。
- 5位:ChatGPT(23.8%)
- 6位:Gemini(22.5%)
いずれも2割を超えており、Instagram(19.7%)、メーカー・ブランドの公式Webサイト(19.5%)、@cosme(15.8%)を上回る結果となりました。生成AIは、すでにキャッチアップ層にとどまらない「メジャーな情報接点」の一つへと定着しています。
AIが得意なのは「購入決定」ではなく「悩み整理」の段階
では、購買プロセスの具体的にどの場面で使われているのでしょうか。商品選びを4つのフェーズに分けて分析しました。

- AI(ChatGPT/Gemini): 「悩みを調べる」フェーズで最も利用率が高く
(21.1%/18.5%)、購入決定に近づくにつれて低下。 - ECサイト・店頭 : 「悩みを調べる」フェーズ(16〜17%台)から、
「商品探索以降」(23〜25%台)にかけて利用率が上昇。
この対比から分かるのは、AIと既存チャネルはカニバリ(食い合い)を起こしているのではなく、明確に「役割分担」がなされているという事実です。
検索は「並べる」、AIは「たたんで絞り込む」
AIにどのような役割を求めているかも調査しました。

- 1位:悩みや気になることについて調べるため(56.4%)
- 2位:情報をわかりやすく整理・要約してもらうため(53.8%)
- 3位:自分に合いそうな商品を提案してもらうため(46.5%)
従来の検索エンジンは情報を「網羅的に並べて見せる(Expand)」のが得意ですが、AIは膨大な情報を「たたんで整理し、自分用に絞り込んでくれる(Filter)」点が特徴です。生活者はAIを単なる辞書としてではなく、「パーソナライズされた選択支援コンシェルジュ」として活用しています。
【定性データ】生活者はAIに何を具体的に「相談」しているのか?
今回の調査で最も興味深い示唆が得られたのが、自由回答に現れた「リアルな相談内容」です。具体的な回答のうち60.0%が「悩み・症状/対処」に関する相談でした。

① 悩み・症状からの相談(女性30代)
「毛穴開きと肌のくすみが気になる。原因とおすすめのスキンケアのやり方、商品を教えて」
② 自分の属性・条件に合わせた提案(男性60代)
「髪質や使い方を細かく伝えて、自分に合うワックスをピックアップしてもらった」
③ 成分・安全性レベルの確認(女性20代)
「この商品に敏感肌には刺激がありそうな成分は入っていますか」
年齢、肌質、髪質、ライフスタイル——。キーワード検索では単語化しづらい「私個人の文脈・条件」を丸ごと打ち込めることこそが、AI相談が選ばれる理由です。
AIは「認知していなかった商品」との出会いを作る(認知獲得)
相談プロセスを経て、実際の購買行動にはどう影響しているのでしょうか。

AIをH&Bの情報収集に利用する人の64.3%が「それまで知らなかった商品を、AIの提案をきっかけに購入した経験がある」と回答しました。
- スキンケア・基礎化粧品(39.1%)
- メイク・コスメ(22.4%)
- ヘアケア・ヘアスタイリング商品(21.8%)
- オーラルケア商品(20.1%)
- 医薬品(19.3%)
AIは単なる比較検討ツールにとどまらず、「新規認知(ブランド発見)の強力な起点」になっています。
AIは「買う予定のなかった商品」を購入候補に変える(意向喚起)
さらに見逃せないのが、以下のデータです。

AI利用者の54.1%が「知ってはいたが、購入するつもりのなかった商品をAIに勧められて購入した」と回答しています。
- スキンケア・基礎化粧品(24.4%)
- ヘアケア・ヘアスタイリング商品(18.7%)
- メイク・コスメ(17.3%)
- オーラルケア商品 / プロテイン・ダイエット/健康管理食品(各15.0%)
つまりAIは、認知にとどまっていた商品を「自分にとって買うべき理由(Why Me)」に変換し、非アクティブな認知層を購買層へと変化させる役割を果たしています。
AIで完結はしない:既存チャネルとの「確認・検証」の回遊行動
AIから提案を受けた後、生活者はそのまま購入ボタンを押しているわけではありません。

- Google・Yahoo!などの検索エンジンで検索した:63.5%
- AIで紹介・提案された商品について、さらにAIに質問した:50.7%
- Amazon・楽天市場などのECサイトで商品情報や口コミを確認した:25.5%
- Instagramで確認した:24.4%/YouTubeで確認した:24.4%
- ドラッグストアなどの店舗に行って商品を確認した:21.8%
生活者はAIの回答を盲信するのではなく、「AIの提案(仮説)→ 他チャネルでの検証(事実確認)」という行動パターンをとっています。
ここでのポイントは情報の一貫性です。AIが「この成分があなたの悩みに効く」と伝えても、ECサイトの商品ページや店頭POPにその成分情報や文脈が欠落していれば、せっかくの購買意欲は途切れてしまいます。
最終的な購買の決め手は「AIの言葉」ではなく「商品への納得感」
商品購入の最終的な決め手を聞いたところ、以下の結果となりました。

- 自分の悩みや肌質・体質に合った商品だった(28.5%)
- 商品の成分・機能・効果に魅力を感じた(25.5%)
- なぜその商品が自分に合うのか、AIの説明に納得できた(14.4%)
AIの説明はきっかけや後押し(37.7%)にはなりますが、最終的に背中を押すのは「製品スペックや成分に対する生活者自身の納得感」です。AIは「無理やり買わせる魔法のツール」ではなく、「商品の価値を生活者の文脈に合わせて翻訳し、納得感を醸成するアクセラレーター」と言えます。
まとめ:調査から見えた、健康・美容(H&B)商品の購買ジャーニー
ここまでの流れを整理すると、現代のH&B購買プロセスは次のように進化しています。

健康・美容商品の購買において、「キーワードで商品を調べる」経路に加えて、「悩みや条件を相談した結果、商品に出会う」経路が確認できました。
メーカー・事業会社への3つの戦略的示唆
この変化に対して、企業やマーケターはどのような対策をとるべきでしょうか。
① AIO対策:「検索される商品」から「相談で推薦される商品」へ
AIが文脈や悩みに応じて商品を推奨する時代において、従来のSEO(検索エンジン最適化)に加えてAIO(AIに正しく引用・推薦されるための最適化)の意識が不可欠です。単なるスペック表記だけでなく、「誰の、どんな悩みに、なぜ効くのか」という根拠構造を明確にした情報発信(Webサイト・プレスリリース等の構造化データ)が求められます。
② オムニチャネルの一貫性:AIの提案をEC・店頭でドロップさせない
AIで生み出された「買いたい理由」を落とさないよう、AIから検索・EC・SNS・店頭までの情報ストーリーを滑らかに繋ぐ必要があります。ECの商品ページにAIが推奨しそうな「お悩み別・成分別」の情報を明記したり、店頭POPとオンライン情報のメッセージを同期させたりする「オムニチャネルな導線設計」が重要です。
③ 誠実な製品力と情報開示
生活者はAIの言葉を鵜呑みにせず、最終的には成分や効果を自分で確認して納得します。AIに評価されるためのテクニックに偏るのではなく、「機械(AI)にも人にも正しく伝わる誠実な商品価値の言語化」こそが、最大のマーケティング戦略となります。
おわりに
「生活者はどれくらいAIを信じて商品を選んでいるのか?」
今回の調査が示した答えは、「AIを盲信しているのではなく、AIが示した『自分に合う理由』に納得して買っている」でした。
企業がこれから取り組むのは、AIというアルゴリズムに媚びたコンテンツを作ることではありません。自社の商品が「誰のどんな悩みを、なぜ解決できるのか」を、AI(機械)にも生活者(人)にも正しく理解できる形でオープンに配置しておくことだと考えます。
技術が生成AIに変わっても、マーケティングの本質は顧客起点ですね。

📊 調査概要
- 調査名: 生成AI時代のH&B購買行動調査
- 調査対象: 全国18〜69歳の男女(生成AI利用経験あり、過去1年以内にH&B商品を購入)
- サンプル数: 本調査 n=1,040 ※設問により回答対象者・サンプル数は異なる
- 調査方法: インターネットアンケート
- 調査期間: 2026年9月7日〜9月8日
- 調査機関: 株式会社オノフ
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AIをきっかけに商品が選ばれる今、生活者の悩みに寄り添い、商品価値を正しく伝える情報設計が大切です。
オノフでは、生活者意識を起点に、戦略設計から現場での実行・運用まで伴走しております。
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