第1回:AI経由流入の「質」は本物か。検証すべき3つの視点

はじめまして。オノフのAIアナリストの三浦です。普段は自社とパートナー企業様のWeb解析や改善支援を担当しています。
生成AIに関する解析に本格的に取り組み始めたのは今年に入ってからで、正直まだ手探りの部分も多い領域です。それでも、企業がAIをうまく活用しながら自社やプロダクトを知ってもらい、サイト訪問や購入につなげていけるよう、実務の中で見えてきたことをお伝えしていきたいと思っています。
情報探索の向こう側に現れた「新しい知性」
「ChatGPTやGoogleのAI Overviews(AIO)が広がってきて、自社サイトへのアクセス数が減ってしまうのでは……」
最近、こんな不安を感じているマーケティング担当やWeb担当の声を聞きますし、実際にそのようなご相談を受けることもあります。
情報を得るために検索エンジンを使うのは当たり前で、結果画面に並んだ青いリンクをいくつも開いて見比べていたのはもう過去の出来事です。そんな時代は終わり、今はAIとの対話画面や要約枠の中で疑問を解決し、情報取集が出来てしまう、「ゼロクリック検索」当たり前の光景になりつつあります。
令和8年7月に公開された総務省の情報通信白書では、AIの進展がもたらす多面的影響が記されており、以下の通りここ数年で日本国内の利用者の伸びが顕著となっています。

出典:2026年 総務省 「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研修」
では、この行動変化によって自社サイトへのアクセスが本当に減るのだろうか?その疑問を実際のデータを見ながら分析していくと、実はPV(アクセス数)の減少をそこまで恐れる必要は無いと感じる場面が多いです。
というのも、AIO(AI検索最適化)やLLMO(大規模言語モデル最適化)、GEO(生成エンジン最適化)といった言葉が本当に意味しているのは、単なる「トラフィックの奪い合い」ではないからです。
簡単に言うと、AIOはAIに自社の情報を正しく理解してもらうための取り組み全般で、LLMOはChatGPTなど対話型AIへの最適化であり、GEOはPerplexityなど生成検索エンジンでの引用最適化を指します(詳しくは中盤で解説します)。
大事なのは、「推論エンジン(AI)」という新しい知性に対して、自社の強みや価値が正しい根拠とともに理解され、参照される状態をつくること。この一点に尽きると私は思います。
一見、生成AIはサイトへの流入を妨げる存在に思えるかもしれません。でも正しく向き合えば、従来のSEO以上に効率よく集客できる、頼もしいパートナーになってくれます。
まずは、ユーザーの行動がどう変わったのかを整理していきましょう。
「敵」から「パートナー」へ、見るべきポイントを整理する
AI検索や対話型AIを「自社サイトへの入口を塞ぐ壁」だと捉えてしまうのは、まだPV重視の見方にとどまっている証拠だと思います。
少し見方を変えてみると、AIはユーザーを自社サイトへ送り届ける前に、ネット上の情報を整理・比較し、いわば事前の説明や説得を代わりにやってくれる「優秀な営業担当者」だと言えます。
これまでのWeb検索では、ユーザーが複数のサイトを自分で開いて情報を比較していましたが、今は興味を持った段階で「AIに相談する」というワンクッションが入るようになりました。AI経由でサイトに辿り着いたユーザーは、すでに基礎知識を頭に入れ終えていて、比較・検討や購入・問い合わせに近い段階まで進んでいることが多いのです。これが実務の現場でよく指摘される傾向です。
ただ、この傾向を鵜呑みにして「AI経由は質が高いはずだ」と決めつけてしまうのは早計です。本当に確認すべきなのは、次のような視点になります。
| 見るべき3つの視点 1. 流入経路を分けて見る 全体のPV・セッション数だけを見て一喜一憂するのではなく、AI経由の流入とそれ以外を分けて計測できているかを確認します。 リファラーやUTMパラメータ、サーバーログでAI関連のアクセスを識別できる状態を整えることが、あらゆる分析の出発点になります(具体的な計測方法は次回のブログでご紹介出来ればと思います)。 2. 「減っている流入」の中身を見る セッション数が減っているページがあれば、それが本当に「見込み客の減少」なのか、それとも「AIの回答内で満足してクリックしなかっただけの、そもそも購入意図の薄いユーザー」なのかを、滞在時間や遷移先、CV有無といった行動データで切り分けて見る視点が欠かせません。 3. 「質が良い」も検証してから語る AI経由のユーザーは熱量が高いと言われがちですが、これも思い込みで終わらせず、実際のCVRや商談化率のデータで裏づけを取ることが大切です。 裏づけが取れて初めて、「AIが事前選別の役割を果たしている」と言えるようになります。 |
つまり、AIをパートナーとして活かせるかどうかは、感覚ではなく、こうした視点を押さえたうえでデータを継続的に見ていけるかどうかにかかっています。そのための土台となるAIO・LLMO・GEOという枠組みを再度整理していきましょう。
AIO・LLMO・GEOの整理とSEOとの関係
ここで改めて、AI時代の最適化手法としてよく語られる言葉(AIO、LLMO、GEO)の位置づけと、従来のSEOとの関係を整理しておきましょう。
各手法の位置づけと特徴
これらは互いに対立する手法ではなく、AIOという大きな枠組みの中に、LLMOやGEOの要素が含まれているというイメージです。
| 手法 | 主な最適化対象 | 取り組みの方向性 | 目指す最終接点 |
| AIO(AI検索最適化) | AI検索エンジン・回答UI全般 | 包括的なAI最適化戦略・データ構造化 | AIエコシステム全般での認識・信頼向上 |
| LLMO(LLM最適化) | ChatGPT, Gemini, Claude等 | 構造化データ、FAQ形式、言及獲得 | LLMの対話回答での参照・引用獲得 |
| GEO(生成エンジン最適化) | Perplexity, Google AIO等 | 引用形式の最適化、一次情報提供 | 検索生成回答での優先引用枠獲得 |
SEOとAIOの関係――土台は地続きである
AIOに取り組むうえで、まず押さえておきたいのは「AIOはSEOを置き換えるものではない」ということです。
- クロールやインデックスの前提を整えること
- 検索意図に合った良質なコンテンツをつくること
- 人に役立つ信頼できる情報(people-first content)を提供すること
こうしたSEOの基本は、そのままAIOの土台にもなります。
その土台のうえに、AIOでは「AIが回答を組み立てるとき、自社の情報を信頼できる根拠として採用してくれるか」という視点が新たに加わってくる、というわけです。

自社サイトで確認したいAIO対策の3ステップ
では、AIに自社を正しく理解してもらい、適切に引用・推奨される状態をつくるには、どんな順番で取り組めばいいのでしょうか。オノフでの取り組みも踏まえて、基本となる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:現状把握(AIによる認識状況の確認)
まずは主要なAI(ChatGPT、Perplexity、Gemini、Google AIOなど)に、自社名や業界テーマに関する質問を投げてみましょう。
• 直接的な言及確認:「〇〇分野でおすすめのサービスは?」「〇〇(自社名)の特徴は?」と質問してみて、自社が回答に表示されるか、内容が正確かをチェックします。
• 競合比較での位置:同業他社と並べたとき、どんな根拠で説明されているかを観察します。
オノフの例)上がChatGPTでの検索結果、下がPerplexityでの検索結果


チャットサービスによって多少表現は異なりますが、事業概要や強みが表示されていました。
ステップ2:情報の構造化(技術と文章の整理)
AIがコンテンツの意味を正確につかめるよう、構造を整えていきます。
• 技術的な構造化データ(Schema.org):JSON-LDなどの構造化データを実装し、企業名・サービス内容・著者情報といった実体を明示します。
• 文章構造の最適化:
◦ Q&A形式:「〇〇とは?」という問いのすぐ後に「結論は△△です」と答える、明確な対をつくる。
◦ PREP法:【結論 → 理由 → 事例・根拠 → 再結論】の順で構成し、一部分だけ切り出されても意味が通るようにモジュール化する。
オノフの例)よくあるご質問は「結論ファースト」で記載しています。

ステップ3:エンティティ(実体)の強化と一次情報の提示
AIは「誤情報(ハルシネーション)」を避けたいので、信頼性の高い情報源を重視します。
ネット上の情報をまとめただけのコンテンツではなく、自社ならではの技術・実績・独自調査データ・現場の専門家による知見(一次情報)を公開すること。これこそが、AIに自社を推奨してもらうための強力な根拠になります。
オノフの例)インターネット調査結果などをブログ化し定期的に配信(2024年「美容目的のサプリメントには何を期待する?」オノフ調べ)

指標の再定義:PV(量)から「AIシェア率」と「熱量」(質)へ
生成AIが情報検索の主流となる時代では、Webサイトの評価指標(KPI)そのものも見直す必要が出て来ると思います。
従来の検索流入とAI経由流入の比較
| 比較項目 | 従来の検索流入(SEO) | AI経由の流入(AIO/LLMO) | 分析上の視点 |
| 主な参照元 | Google, Yahoo! など | ChatGPT, Perplexity, Claude など | 高度な「対話・推論」を経た流入 |
| ユーザー心理 | 「情報・答え」を探している | 「解決策・選択肢」を確認しに来ている | 比較・検討の事前接客が完了している |
| サイト内行動 | 疑問が解ければ即離脱しやすい | 滞在時間が長く、深く探索しやすい | 関心度・熱量が高い |
| 成約(CV)率 | サイト内での強い説明が必要 | 相対的に高くなりやすい | AIの推奨を経て訪問している |
分析で押さえておきたいこと
• AI参照セッションシェア:(月間AI参照セッション数 ÷ 月間全セッション数)× 100
• AI貢献CVシェア:(月間AI参照CV数 ÷ 月間全CV数)× 100
• AI上での言及シェア(Share of Voice):主要な質問(例:20選)のうち、自社が引用・推奨された割合
アクセス数という「量」だけを追いかけるのではなく、AIというフィルターを通して、訪れる「質の高いユーザーの熱量」を正しく測り評価していくこと。それが、これからのデータ分析担当に求められる新しい役割になります。
AIOは、SEOを完全に置き換えるものでも、まったく別物の特別な施策でもありません。SEOがこれまで築いてきた基盤の上に、AIという新しい接点が加わった、と捉えるのが一番しっくりきます。
本格的に取り組みを始める前に、まずは次の5つのポイントを確認してみてください。
| 1. 主要なAIクローラーをブロックしていないか robots.txtなどで、GooglebotやOAI-SearchBot等のアクセスを不要に拒否していないか確認します。 2. 主要なAIで自社がどう回答されているか ChatGPTやGemini等で自社名やサービス名を検索し、正確に言及されているか確認します。 3. 他社と区別できる独自の情報(一次情報)が公開されているか 自社ならではの知見、事例、調査データなどがコンテンツとして言語化されているか棚卸しします。 4. 社内に言語化されていない一次情報が埋もれていないか 現場の営業が答えている質問やお客様の声など、コンテンツ化できる資産が社内にないか確認します。 5. SEOの基本(クロール・構造・品質)が整っているか AIOの前提となるSEOの基本要素がしっかり機能しているか見直します。 |
特別な技術の導入から慌てて始める必要はありません。まずは自社について、「AIと人に伝えるべき独自の強みや実績があり、それがきちんと言葉にできているか」を振り返ることから始めてみましょう。
よくある質問
Q1. AIO・LLMO・GEOの違いは何ですか?
A. AIOはAI検索エンジン全般に対する包括的な最適化、LLMOはChatGPTなど対話型AIでの参照・引用獲得、GEOはPerplexityなど生成検索エンジンでの優先引用獲得を指します。三者は対立するものではなく、AIOという枠組みの中にLLMOとGEOが含まれる関係にあります
Q2. AIOに取り組むと、SEOは不要になりますか?
A. いいえ、不要にはなりません。AIOはSEOを置き換えるものではなく、クロール・インデックスの整備や検索意図に合った良質なコンテンツづくりといったSEOの基本が、そのままAIOの土台になります。
Q3. AI経由のアクセスは、本当に質が高いと言えますか?
A. 「AI経由は質が高い」という声はよく聞かれますが、鵜呑みにするのは早計です。流入経路を分けて計測し、減っている流入の中身(購入意図の有無)や、AI経由ユーザーの実際のCVR・商談化率をデータで確認して初めて言えることです。感覚ではなく、継続的な検証が欠かせません。
Q4. AIO対策は何から始めればいいですか?
A. まずはChatGPTやGeminiなどで自社名・サービス名を検索し、どう説明されているかを確認するところから始めます。次に構造化データやQ&A形式で情報を整理し、最後に自社ならではの一次情報(独自データや現場の知見)を公開していくのが基本の流れです。

AIO・LLMO対策のご相談はオノフへ
株式会社オノフでは、AI経由流入の分析から、自社の強みや一次情報の整理、AIにも人にも伝わりやすいコンテンツ設計・Web改善まで一気通貫で支援しています。
「AI経由の流入を正しく分析したい」「自社の一次情報をAIO・LLMO対策に活かしたい」といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。