PSM分析とは。安すぎても買えない?ちょうどいい価格を知るための活用方法。
みなさんは、スーパーでの買い物や、飲食店で注文をするときに、安すぎて怖くて買えないという経験は無いでしょうか?この場合の「買えない」とは、買う行動をおこせないという事です。
価格というのは不思議なもので、高くても買う欲求が生まれず、逆に安くても買う気持ちになれないものです。個人的には、安すぎる焼肉店には行く気持ちになりませんし、50円の缶コーヒーは買いません。極論、私は2万円の家賃や、10万円の中古車を少なくても選ぶことはありません。
適正価格を把握する
メーカーや飲食店は、消費者が買うための行動を起こす、ちょうどいい価格帯を把握する必要があります。そのために適性価格の調査が役に立ちます。
その調査は、PSM分析(Price Sensitivity Measurement)と言います。
消費者の商品に対する価格感(値頃感)を探るための手法で、商品やサービスの適正価格帯を算出する定量分析の手法です。
PSM分析では、消費者に対して新商品を提示して、どれくらいの価格であれば購入するかを聞き取ります。対象者に「安すぎる」、「安い」、「高い」、「高すぎる」と感じる価格を数値でそれぞれ答えてもらうことで、ターゲットが受け入れられる価格を算出します。
具体的な聞き方
PSM分析は、上限価格、妥協価格、理想価格、下限価格、この4つの質問だけ行うシンプルな設計です。
直接的に購入価格を聞くのではなく、価格観などの参照価格を求めることが大きな特徴です。
具体的な手法として、以下のように聞いていきます。
Q1. その商品「P」は、いくらぐらいから「高い」と思いますか。
Q2. その商品「P」は、いくらぐらいから「安い」と思いますか。
Q3. その商品「P」は、いくらぐらいから「高すぎて買えない」と思いますか。
Q4. その商品「P」は、いくらぐらいから「安すぎて品質が疑わしい」と思いますか。
なぜ、直接いくらかと質問するのではなく、このような聞き方をするのでしょうか。
通常、人は何かを買う場合には、ある程度の予算の幅があるため、直接的な聞き方をすると、回答価格が低めに出る傾向があります。「この商品はいくらで買いますか。」と質問をされると、回答者は、本当はもう少し高くても買うにもかかわらず、安い価格を回答してしまう心理が働くため、質問にも工夫が求められます。
また、逆に現実ではないため、高い価格を回答することもありえます。つまりこの調査方法では、妥当性のある情報が得られない可能性が高いのです。
PSM分析は、直接的に購入価格を質問するのではなく、価格のイメージ、参照価格(ふさわしい価格)を求めることが大きな特徴です。
事例
これは弊社で実際に行ったPSM分析です。具体的には書けませんが、某調味料についてのPSM分析です。
このように質問した調査結果から累積分布をとり、4本の曲線の交点を求め、これらを基準の価格とすることがPSM分析です。
注意点
最後に、PSMを行う際の注意点となります。まずはターゲットとなる層に聴取をしましょう。
当然ですが、化粧品の価格なら、女性に聞くという事です。
また、世の中に認知されていない新しい技術などの場合、相場観が不明の場合があります。
その場合は、想定価格を提示しましょう。
最後に
PSM分析は、新商品の市場導入価格の設定や既存商品の価格見直しの際に価格の受容性を探るのに適した手法です。
春のキャンペーンや、秋の新商品開発に向けて、ご興味がありましたらお問い合わせください。
お問い合わせお待ちしております。