AIからの推奨と顧客の信頼を両立する!BtoBサイト構築のポイント

これまで2回にわたり、BtoB企業のためのAIOについてお伝えしてきました。1回目では、生成AIに自社が「選ばれる」ことの重要性について解説しました。2回目の実践編では、FAQの整理やAI回答のモニタリングなど、まず着手すべき5つのチェックをご紹介しました。
一方で、実際にAIOに取り組もうとすると、こんな疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。AIに引用されやすい書き方に寄せると、人間の読者にとって読みにくいサイトになるのではないか?AI向けの施策と、お客様からの信頼づくりは別物なのではないだろうか。
結論から言うと、私はこの2つは対立しないと考えています。AIが引用したくなる情報と、決裁者が信頼できる情報は、実はかなり重なっているからです。
シリーズ3回目となる今回は、AIからの推奨と顧客の信頼を両立させるために、BtoBサイトをどう組み立てればよいのか。その具体的なポイントを整理していきます。
BtoBサイトにAIO対策が必要な2つの理由
まずは、なぜ今BtoBサイトでAIO(LLMO)対策が必要なのか、改めて2つの理由を整理しておきます。
1. AI検索が検索体験として定着しつつある
従来の検索は、キーワードを入れて複数のサイトを回遊し、自分で情報を比べるものでした。AI検索では、ユーザーがよくする質問に対して、AIが回答を集約して返してくれます。
第一に、このタイミングで、AIの回答に自社が含まれていなければ、比較検討の候補にすら入れないリスクがあります。加えて、LLM経由の来訪者はすでに検討が進んだ状態でサイトに来るため、通常の検索経由より高いCVRになる傾向があります。SEO対策のPVやセッションが落ちてきているサイトにとっても、有効な打ち手になります。
2. BtoBの情報収集とAIの相性が良い
BtoBの購買は、検討期間が長く、収集する情報量が膨大で、決裁に関わる人も多いという特徴があります。また、社内での説明資料や稟議書を作成する必要があるため、情報を要約・比較・整理してくれるAIツールは、BtoBの担当者にとって非常に相性の良いツールとなっています。実際、日常業務の中でも当たり前に使われるようになりました。だからこそ、認知・情報収集・比較検討の初期フェーズで、AIの回答に自社の情報が出てくることが重要になります。
狙うべきターゲット層と注力すべきAIツール
「AIに選ばれる」と一口に言っても、誰に、どの検討段階で選ばれたいのかによって、作るべきサイトの中身は変わります。商材の単価や特徴に合わせて、狙うフェーズを決めることが出発点です。
| ターゲット層 | 特に重視すべき商材 | 目指す状態 |
| 情報収集層 | 高単価サービス、コンサル、説明が難しい商材 | 課題や解決策を調べる段階で、自社の名前や考え方が引用されている。 |
| 比較検討層 | 中単価サービスなど | 候補の中で、自社サービスがポジティブに評価・提案されている |
| 稟議・選定層 | 商材を問わず | ネガティブな言及を避け、信頼性が証明されており、社内申請や最終判断を後押しする |
情報収集層は最もボリュームが大きい層です。また、初回の記事で触れたように、BtoBでは現場担当者と決裁者がそれぞれ別の質問をAIに投げています。稟議・選定の段階でAIに、「この会社に問題はないか?」と問われたときに、不安を払拭できる情報があるかどうかも、大切な視点です。
注力すべきAIツールは、基本的に、ChatGPT、Google(Gemini / AI Overviews)、Claude、Perplexityへの対応を検討することをおすすめしています。
- Google(Gemini / AI Overviews):一次情報を重視する傾向があり、自社サイトでの発信力がカギになります。
- ChatGPT:比較記事とベンダー公式の一次情報を、バランスよく引用する傾向があります。
- Perplexity:レビューや紹介記事など、第三者メディアからの評価・言及を重視します。
つまり、「自社サイトの一次情報」と「外部からの評価」の両輪がそろってはじめて、どのAIからも選ばれやすくなるということです。
顧客の「検討の道筋」を掘り出す

具体的なポイントに入る前に、私がBtoBサイトづくりで最も大切にしている考え方をお伝えします。それは、顧客がどこで迷い、何に気づき、どのタイミングで購買検討に至るのか。そしてその後、社内でどのような調整が必要になるのか。その変化の道筋を掘り出していくことです。
BtoBの購買は、一人の担当者が一度の検索で決めるものではありません。最初は「何が課題なのか」すら言葉にできていない段階から始まり、情報を集めるうちに解決策の存在に気づき、比較検討を経て、最後は上司や関係部署との調整、稟議へと進んでいきます。その段階ごとに、顧客がAIに投げかける質問の中身は大きく変わります。
AIは、こうした一つひとつの質問に答える形で情報を引用します。検討の道筋を具体的に掘り出せていれば、「この段階の顧客は、こんな迷いを抱えて、こう質問するはずだ」という問いが見えてきます。その問いに誠実に答えるページを用意することが、AIに選ばれることと、顧客に信頼されることの両方につながると私は考えています。
営業現場でのヒアリング内容や、問い合わせ・商談の記録は、この道筋を掘り出すための貴重な材料です。
AIの推奨と顧客の信頼を両立する4つのポイント
ここからは、この道筋を踏まえた具体策です。AIに引用されやすく、かつ決裁者が安心して読めるBtoBサイトにするために、私は次の4つの視点で整理しています。
1. 自社にしか書けない一次情報を出す
AIはインターネット上の情報を要約して回答を作ります。どこにでもある一般論を書いても、引用される理由がありません。逆に、自社しか持っていないデータは、AIにとっても読者にとっても価値のある情報になります。
- 業界アンケートや利用実態調査の結果を、数字や%付きの表とテキストで掲載する
- 導入事例に「業務効率○%向上」「年間○○時間の削減」など定量的な成果を入れる
- 「○○を実際に3か月試してみた結果」など、現場の検証プロセスを記事にする
- 社内のノウハウを「〜の3原則」のような独自のフレームワークとして体系化する
実践編で「決裁者に響く証拠は営業部門の中にすでにある」とお伝えしましたが、一次情報も同じです。提案書や導入後の効果測定など、社内に眠っている数字を公開できる形に整えることが、最も確実な一歩だと考えています。
2.「誰が書いたか」を明示する(E-E-A-T)
BtoBの決裁者は、情報の中身と同じくらい「その情報を誰が言っているか」を気にします。AIも同じで、情報源の信用力を判断する手がかりを探しています。
- 著者・監修者の経歴、保有資格、顔写真、SNSなどへのリンクを掲載する
- Schemaの構造化データ(Article / Person)で、著者・公開日・更新日・組織名をマークアップする
- 官公庁の統計や業界団体の資料を引用する際は、出典名とリンクを明記する
- 最終更新日に加えて、ファクトチェック実施日を表記する
- 役員や製品開発責任者の見解を、コメント枠や対談形式で組み込む
これらはAI向けの施策であると同時に、稟議を通す担当者が「この会社なら大丈夫だ」と上司に説明するための材料にもなります。
3. AIが読みやすく、人も読みやすい構造にする
冒頭の疑問に戻ります。AIに抽出されやすい構造は、実は忙しい決裁者にとっても読みやすい構造です。どちらも「結論がどこに書いてあるか、すぐわかること」を求めているからです。
- 記事冒頭に3〜5行の要約ボックスを置く
- 見出しを「〜とは?」「〜の選び方」などの疑問文にし、直後に結論を書く
- スペック比較やカオスマップは、画像だけでなくテキストの表でも掲載する
- 専門用語は「○○とは、▲▲のことである」という明確な定義文で説明する
- 「導入すべき企業・すべきでない企業」など、向き不向きを中立的に整理する
特に最後の「向き不向き」は、信頼づくりの鍵だと私は考えています。自社に都合のよいことだけを並べたページは、AIにも読者にも宣伝として受け取られます。不向きなケースも正直に書くことで、公平な比較材料として引用されやすくなり、お客様からの信頼も高まります。
4. 第三者からの言及・評価を集める
自社サイトをどれだけ整えても、自分で自分を褒めているだけでは信頼に限界があります。PerplexityやGeminiなどは、Web上の第三者メディアやSNSでの評価も総合して判断します。
- 独自調査をプレスリリース化し、業界メディアに引用してもらう
- 「出典URLを明記すれば図表・データは自由に引用可能」という引用ガイドラインを明記する
- レビューサイトと、社名・サービス名・サービス内容の表記を統一する
- 著者個人のXやFacebook、noteで記事のポイントを発信する
- パートナー企業と共同調査や対談記事を作り、相互に言及し合う
意外と見落とされがちなのが、表記の統一です。サービス名の表記が媒体ごとにバラバラだと、AIが同じサービスだと認識できず、せっかくの評価が分散してしまいます。
まとめ
AI検索の台頭により、AIの回答に自社が含まれるかがBtoBの比較検討の成否を左右するようになりつつあります。ただし、AIに選ばれることはゴールではありません。その先でお客様に信頼されてはじめて、問い合わせや受注につながります。
一次情報、著者の明示、読みやすい構造、第三者の評価。今回の4つのポイントは、どれもAIのためだけの施策ではなく、人間の読者にも向き合うための施策でもあります。すべてを一度に進める必要はありません。まずは営業現場の声から顧客の検討の道筋を掘り出し、ターゲット層を定めたうえで、主要サービスのページを一つずつ見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問|BtoBサイトのAIO対策でつまずきやすいポイント
ここでは、AIからの推奨と顧客の信頼を両立するBtoBサイトづくりについて、実際に取り組みを始めるときに出てきやすい疑問をQ&A形式でまとめました。AI向けの書き方と読みやすさの関係から、検討の道筋の掘り出し方、着手の順番、効果の確かめ方まで、自社サイトを見直す際の参考にしてください。
Q1. AIに引用されやすい書き方にすると、人間には読みにくいサイトになりませんか?
AIに引用されやすい書き方は、人にとっても読みやすい書き方です。AIも忙しい決裁者も、結論がどこに書いてあるかをすぐに知りたいからです。冒頭に要約を置く、見出しを疑問文にして直後に答えを書く、比較はテキストの表にする。こうした工夫は、どちらの読み手にも役立ちます。
Q2. 顧客の「検討の道筋」は、どうやって掘り出せばよいですか?
まずは営業現場の声を集めるのがおすすめです。商談でよく出る質問、失注した理由、稟議の段階で求められた資料などを、検討の段階ごとに並べてみてください。「どこで迷い、何に気づき、何を社内で説明する必要があったか」が見えてきます。問い合わせフォームの記入内容や、インサイドセールスの記録も役に立ちます。
Q3. 公開できる独自データがない場合は、どうすればよいですか?
大規模な調査をしなくても、一次情報は作れます。たとえば、導入事例の中の効果の数字、自社で実際に試した検証の記録、営業でよく聞かれる質問とその答えなどです。どれも自社にしか書けない情報です。まずは社内の提案書や報告書の中から、公開できる数字を探すところから始めてみてください。
Q4. 4つのポイントのうち、どこから着手すべきですか?
私は、「AIが読みやすく、人も読みやすい構造にする」から始めることをおすすめしています。今あるページの見直しで取り組めるので、新しくコンテンツを作るより負担が少ないからです。主要サービスのページに要約と疑問文の見出しを加えるだけでも、効果が期待できます。そのうえで一次情報の発信、第三者評価の獲得へと広げていくのが現実的です。
Q5. 「不向きなケース」まで書くと、問い合わせが減りませんか?
一時的に減ることはあるかもしれません。ただ、減るのは、もともと自社に合わなかったお客様からの問い合わせです。向き不向きを正直に書いてあるページは、AIに公平な比較材料として引用されやすくなります。お客様にも「この会社は誠実だ」と受け取ってもらえます。結果として商談の質が上がり、受注率の改善にもつながります。
Q6. 取り組みの効果は、どのように確認すればよいですか?
実践編でご紹介したように、主要な質問をAIに定期的に投げて、回答の変化を記録するのが基本です。自社名が出るか、自社のページへのリンクが付くか、自社の数字が引用されるかを、月に一度確認してみてください。あわせて、AI経由の流入数やコンバージョン、指名検索の数も見ておくと、成果をより立体的に確認できます。
AIにも顧客にも選ばれるBtoBサイトづくりはオノフへ
自社のサイトは、サービスの説明だけで終わっていませんか?AIの回答で紹介され、その先の比較検討でも選ばれるには、顧客の疑問に答え、社内での説明や稟議にも使える情報を届けることが大切です。
オノフのAIO支援は、リサーチによる顧客・市場理解を起点に、自社の強みを裏づける一次情報づくりから、コンテンツ制作、Webサイトへの実装・運用まで一気通貫でサポートしています。
「自社サイトに足りない情報を知りたい」「営業で伝えている強みをサイトでも伝えたい」とお考えの方は、ぜひご相談ください。顧客の検討の流れに沿って、何から見直すべきかを一緒に考えます。