1から学ぶ調査提案書の作り方

目次

調査の役割

突然ですが、なぜ調査(マーケティングリサーチ/リサーチ)を行う必要があるのでしょうか。

今回は調査の役割を整理したいと思います。

・顧客や市場を理解し、新たな戦略や施策を考えるための材料を得る(思考のヒント、課題や機会の発見、市場実態の把握、仮説の検証など)

・マーケティングの失敗リスクを低減する、マーケティング施策の結果を検証し改善する(Plan-Do-Check-Action サイクルの実施など)

・社内コミュニケーションのためのツールとする(関連部署やステークホルダーの説得、共通認識のための素材提供など)

調査企画“あるある”

調査企画を作成する際に、下記のようなことがよく見られます。

ーーーー

“企画書”ではなく、“仕様書”になっている
→「何をするか~調査項目・対象・方法」の記述ばかりで、「なぜ、このリサーチをするのか」「このリサーチをすることでビジネスにどう繋がるのか」がわからない。

「リサーチ目的・課題」が書いてあっても、クライアント(社内外)のブリーフのままであり、自身で考えたり検討していない
→背景を理解していない、あるいは仮説がないので、焦点が絞られず曖昧模糊としている。

目的・課題~調査項目~対象~方法の繋がりがみえない

→ビジネスに繋がるアウトプットを検討していないので、目的~課題~項目~対象~手法がばらばらで整合性がとれず、結局何が得られるのかがわからない。

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上記“あるある”を解消するために、調査企画の基本を一回おさらいしましょう。

調査企画の詳細フロー

STEP1:リサーチの背景理解

リサーチの背景=「マーケティング目的・課題」の明確化がリサーチ企画の最初のステップになります。

◆調査の背景・テーマを明らかにする

⇒調査をしたい背景・テーマがあるはずマーケティング目的&課題、悩みなどを整理する

◆ 現在のステップと前後を問う(考える)
⇒いままで何をしてきて、何が明らかになっているか⇒そこで何が課題になっているか⇒調査結果をどのように活用するのか⇒今後、どのようなステップに進むのか

◆ 仮説を議論する
⇒仮説について議論することで、表層的ではない、真の背景を理解できることも(担当者自身も明確に意識していない場合がある)リサーチのテーマを絞ることで、調べる/考える範囲を絞る→焦点の絞られた情報、深い考察に繋がる

STEP2:仮説検討

リサーチにおいて、「仮設が大事だ」と良く言われますが、具体的に仮設の出し方、整理方法があまり語られていないので、こちらで一回整理してみます。

①マーケティングや消費者行動のフレーム活用

◆5W1H→When、Where、Who、What、Why、How
◆3C→自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)
◆4P→製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)
◆7P→4P+人(Participants)、物理的環境(Physical evidence)、プロセス(Process of service assembly)
◆4C→顧客価値(Customer value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)
◆顧客価値→機能的価値、情緒的価値、経験価値
◆商品の3層構造→コア価値、実体製品、拡張製品
◆ブランドエクイティ→認知、知覚品質、連想、ロイヤリティ
◆購買プロセス→問題認識~情報探索~代案評価~購買行動~消費~評価
◆情報処理プロセス→接触~注意~理解~受容~保持
◆消費への影響要因→社会的要因と個人的要因

②既存データ(内部&外部)の分析

・外部データ:公的データ、公表データ、記事、WEB等から
・内部データ:売上データ、財務データ、顧客データ、営業情報、コールセンター情報等から

③ロジックツリー

本質的な問題がどこにあるのかを絞り込む場面や、本質的な課題に対して解決策を考える場面などに用いられる

④現場を見てみる、話を聞いてみる、使ってみる

一番大切なのは、現場を見てみる、話を聞いてみる、使ってみること

・現場を見てみる:

対象者が実際に商品やサービスを使っている現場を見る-どのような人が-どのように使っているのか-どのようなことに困っていそうか、不満そうか-こちらの想定と異なることはないかなど

・話を聞いてみる:
対象者に具体的な話を聞く-なぜ使っているのか(why)-どのように使っているのか(how)-困っていることや不満はないかなど

・使ってみる:
自分で使うことで、見た、聞いたことを検証、自分なりに考える

STEP3:調査の目的を明確にする

このリサーチによって結論付け、マーケティング課題に連動する内容になります。
マーケティング課題を解決するために、この調査で「何を明らかにするのか?」「何を結論付けたいのか?」を具体的に整理します。

例:
・新規参入を行うxxx市場についてユーザーとノンユーザーから、既存商品のパーセプションや利用状況、評価についての実態を探ることで、市場の機会と訴求すべきベネフィットを考察する。
・リニューアル中のWEBサイトのターゲットに対し、サイトのプロトタイプを実際に操作してもらうことによって、デザインの有効性と課題を明らかにし、今後の改善の方向性を明らかにする。

注意点としては、極力具体的な目的を設定し、調査終了後の結論と対応するようにイメージします。

STEP4:調査設計

課題や目的を洗い出した後は、どのような方法で調査するかが見えてきます。

どのような方法で調査を行うのか、調査対象者や調査時期など、なるべく具体的にしておきましょう。これを詳細に記すことの必要性は、調査の結果がその方法に大きく依存するからです。

イメージとしては、
・誰に対して
・どこで
・いつ
・どのように
を明確にして行く必要があります。

1)調査手法

調査手法には大きく定量調査と定性調査があり、それぞれ特徴があり、適している調査目的も異なります。

前者はインターネット定量調査やゲーム内アンケート、後者は個別インタビューやグループインタビューなど、さらに詳細な手法に分けられます。調査目的・予算などに応じて、最適な手法を設計しましょう。

2)調査対象者

商品・サービス開発などと同様、調査においてもターゲット設定は重要。ここでは、どのような人を調査するのかを決めていきます。「調査目的や仮説を検証できる人を集める」のが基本です。

そのためには、地域、性別、年齢、職業、世帯か個人か、その商材・サービスに対する履歴など(例:認知・購入・使用中止・未使用、特定カテゴリーへの関与度等)といった基本的な条件を含め、必要な対象条件をよく考慮し設定することが不可欠となります。

3)サンプルサイズ

定量調査か定性調査で大きく異なります。

定量調査では、分析のイメージを考えながら、どれくらいのサンプルがあれば信頼できる数値になるかを計算します。

定性調査では、個別インタビューの場合は1属性あたり3人。グループインタビューの場合は1属性あたり4~6人が標準的です。

予算との兼ね合いもあります。特に定量調査の場合、同様の設計・割付において通常はサンプルが多ければ代表性が高く、より信頼できる数値が得られます。

STEP5:目的に沿って調査項目を作成する

集計分析に必要なデータを得る、かつ実査上の課題をクリアするための調査項目を整理しましょう。

調査目的を分解し、対象者が回答できるような質問項目に落とし込みます。お客さまに対して何をどのように聴くのかをリストアップしていきましょう。「調査項目」なので、詳細な調査票を記載する必要がなく、箇条書きの聴取項目リストを作成します。

STEP6:最終レポートのイメージを考えてみる

最後に、現在の調査設計で作成する最終レポートの構成とストーリーをイメージしてみて、納得感のある、わかりやすいものになるかを一回検証してみます。

どのような意思決定をするのか(背景)

その提案のためにどのような結論や考察が必要か(リサーチ目的)

その結論や考察のために、何が明らかになっている必要があるか(リサーチ課題)

そのためには、どんなデータや情報が必要か(リサーチ項目)

その情報は、納得できる対象や方法で得られているか(リサーチ対象、方法)

調査企画の注意点まとめ

最後に、調査企画の注意点を一回整理しましょう。

ーーーー

“リサーチ自体が目的ではない”(データを集めて終わりではない)

“リサーチのアウトプットはデータではなく、結果から得られる知見であり、課題の解決に寄与すること”

(課題解決に結びつかないリサーチは意味がない)

“マーケティング課題からスタートし、リサーチの目的、設計、分析、アウトプットを首尾一貫させること”(目的にあわせた、適切な手法や分析)

ーーーー

⇒よいリサーチとは、マーケティング課題に基づいてすべてが計画・実行され、最終的にマーケティング課題の解決に寄与することです。

調査のご相談

調査に関するお悩みごと、ご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

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