因子分析とは
因子分析とは
因子分析とは、多変量解析の一種で変数の背後にある根本を解析する分析手法です。
何かと一言で表すのなら、原因を探索する事と言えます。原因を探求することで、マーケティングの現場でよく用いられます。
因子分析について理解するための利用例
因子分析を理解しやすくするために、最初に簡単な例で説明します。書籍などで見かけた方もいらっしゃると思いますが、因子分析は学校のテストを例にして説明するのが分かりやすいです。
ある生徒が、国語・数学・物理・英語・社会 これらの5つのテストを受けました。それぞれ国語70点、数学90点、物理80点、英語70点・社会60点でした。(平均点はどれも70点とします)
この生徒は、数学と物理の方が得意だという事がわかりますが、5つの科目のうち、どの教科がそれぞれ関係しあっているかまでは分かりません。このような時に因子分析が役立ちます。
それぞれの教科に、共通する要素(因子)があるとした場合、以下のような結果になりました。
因子分析によって5教科の点数は、2種類の共通因子を持っていることが判明しました。もうお分かりかもしれませんが、因子Aとは理系の能力、因子Bは文系の能力となります。英語は、因子AとB共通となります。まとめると、理系能力の高い生徒は、数学と物理の点数が高く、文系能力の高い生徒は、国語と社会の点数が高くなります。
このように因子分析は複数の変数(この場合はテストの点数)を持つデータから共通する要因(この場合は、文系か理系か)を見つけ出すための分析手法となります。
多様なシーンで活用される因子分析
因子分析は様々なシーンで活用されています。特に、心理学では、人間の行動や性格などの心理学的な特性を調査する際に、多くの心理測定が行われます。厳密には違いますが、大枠ではグループ化のための統計分析として用いられます。
心理学では、人間の性質や特徴を把握する際に1つの質問項目ですべてを決めるようなことはしません。いくつもある項目を聞き出し、似ているものを集めて分析をしていきます。因子分析はこれらの測定から共通する概念や特性を抽出し、心理学的な構造を理解するのに役立ちます。
そのほかにも、最初に例に挙げたような教育の場面や、医学研究でも用いられます。
マーケティングリサーチでの活用
因子分析はアンケート調査の分析にも用いられます。例えば、ある食品メーカーが消費者の購買心理を調査するために定量調査をするとします。設問内容は食料品を購入する際の嗜好や関心に関する項目で構成しました。しかし結果を見ても設問が多すぎたため全体の傾向が分かりません。そこで、設問を詳しく見ると、似たような設問も散見されることが分かりました。そこで因子分析によって各設問の共通因子を探ります。結果は以下のようになりました。
因子1:「いつも違う商品を選んで買う」
因子2:「とにかく価格重視で選ぶ」
因子3:「口コミを見てから買う」
の3つの設問の共通因子でした。因子にはそれぞれ名前を付けます。
因子1は、こだわりが無さそうなので、「色々試したい因子」
因子2は、シンプルに「価格重視因子」
因子3は、「情報収集因子」と名付けました。
今回の結果を踏まえて、今後どのような戦略で販促を行うべきか考える際の検討材料とします。
因子分析の注意点
因子分析は、あくまで人が行うという大前提であること注意してください。因子の数は、分析者が決めることであり、因子が見つからないケースもあります。因子を無理やりに見つけるのは分析の本質から外れてしまい、正しい分析ができません。また、分析のための一定量のデータが必要となります。また因子の名前の付け方によってはバイアスが生まれることも注意が必要です。
まとめ
因子分析とは、大量の変数を持つデータを扱う際に、データの背後にある原因を探求するための分析手法です。分析結果はマーケティング活動では消費者を理解するために役立てることができます。