わかりやすいアンケートの作り方|伝わる設問と回答しやすい工夫とは

アンケートで質の高い回答を得るためには、回答者が迷わず直感的に答えられる「分かりやすい」設問設計が不可欠です。
本記事では、アンケート作成の準備段階から、具体的な質問文・選択肢の作り方、回答者の負担を減らすデザインの工夫まで、実践的なノウハウを体系的に解説します。
これからアンケートを作成する担当者や、回答の質をさらに高めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも「わかりやすいアンケート」とは?回答の質を高める定義
「分かりやすいアンケート」とは、回答者が質問の意図を一度で正しく理解でき、自身の考えや状況に最も近い選択肢をストレスなく選べるアンケートを指します。
設問文の言葉選びが適切で、選択肢も明確に区別されているため、回答者は迷うことがありません。
一方で「わかりにくい」アンケートは、質問が曖昧だったり、専門用語が使われていたりするため、回答者の誤解を招き、回答の信頼性を損ねます。
質の高いデータを収集するためには、回答者が正しく理解できる設計が前提となります。
アンケート作成を始める前に押さえるべき4つの準備ステップ
質の高いアンケートを作成するには、いきなり質問文を考えるのではなく、事前の準備が極めて重要です。
まず、アンケートの目的を明確にし、誰に回答してほしいのか具体的な対象者像を定めます。
次に、得られる回答を予測するための仮説を立て、最後にWebや紙といった媒体の中から目的に合った形式を選択します。
これらの準備を丁寧に行うことで、尋ねるべき質問が明確になり、後の集計や分析の精度も高まります。
計画的な準備こそが、アンケート成功の基盤を築きます。
何を知りたいのか?アンケートの目的を明確に設定する
アンケートを実施する上で最も重要なのが、目的の明確化です。
「顧客満足度を調査したい」といった漠然としたテーマではなく、「新商品Aのパッケージデザインに関する評価を収集し、今後の改良に活かす」のように、何を明らかにし、その結果をどう活用するのかを具体的に設定します。
目的が明確であれば、尋ねるべき質問項目も自ずと絞り込まれ、回答者にとって不要な質問をなくせます。
逆に目的が曖昧なまま進めると、質問が多岐にわたり、結局何が知りたかったのか分からない分析結果になりかねません。

誰に回答してほしいのか?具体的な対象者像を決める
アンケートの目的が決まったら、次に「誰に」回答してほしいのか、具体的な対象者像を定義します。
例えば「20代女性」という大まかな括りではなく、「都内在住で、オーガニックコスメに関心があり、月に5,000円以上を化粧品に費やす20代の会社員女性」のように、年齢や性別だけでなく、ライフスタイル、価値観、行動特性まで詳細に設定することが望ましいです。
対象者像を具体的に描くことで、その人たちに響く言葉遣いや質問内容を考えることができ、より実態に即した回答を得やすくなります。

得られる回答を予測するための仮説を立てる
アンケートを作成する前に、結果に対する仮説を立てるプロセスが有効です。
「新機能Xは、主に30代のユーザーから『操作が直感的で使いやすい』という評価を得られるのではないか」といったように、目的と対象者に基づいて、得られそうな回答を具体的に予測します。
この仮説を検証するために必要な質問は何か、という視点で設問を設計できるため、質問の漏れや重複を防げます。
また、アンケート実施後に実際の結果と仮説を比較検討することで、想定とのギャップが明確になり、より深い分析と洞察が可能になります。

Webや紙など目的に合ったアンケート形式を選ぶ
アンケートの目的や対象者に合わせて、最適な形式を選択します。
Webアンケートは、URLを送るだけで広範囲の対象者に短時間でアプローチでき、回答データの自動集計も可能です。
一方で、PCやスマートフォンを持たない層には回答してもらいにくい側面もあります。
紙のアンケートは、特定のイベント会場や店舗などで確実に配布でき、高齢者層にも回答してもらいやすい利点がありますが、配布や回収、データ入力に手間とコストがかかります。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、集計の手間や予算も考慮して選びます。

回答者が安心して答えられる冒頭文を作成するコツ

アンケートの冒頭文は、回答者の協力意欲を引き出し、安心して回答してもらうための重要な要素です。
まず、アンケートの目的や趣旨を簡潔に説明し、誰が調査主体であるかを明記します。
次に、全ての質問に答えるために必要な所要時間の目安を正直に記載することが、回答者の離脱を防ぎます。
さらに、回答データが統計的に処理され、個人が特定されることはないといった個人情報の取り扱い方針(プライバシーポリシー)を示すことで、信頼性を高められます。
最後に、協力に対する感謝の言葉を添えることも忘れてはなりません。
回答者が直感的に理解できる質問文の作り方
回答の質は、質問文の分かりやすさに大きく左右されます。
回答者が質問の意図を考え込むことなく、直感的に理解できることが理想です。
そのためには、曖昧な表現や専門用語を避け、誰が読んでも同じ解釈ができる平易な言葉で質問を作成する必要があります。
一つの質問では一つのことだけを尋ね、具体的な表現を心掛けることで、回答者は迷わずスムーズに答えることができます。
明確な質問文は、回答者の負担を軽減し、より正確なデータ収集の土台となります。
1つの質問では1つのことだけを尋ねる
一つの質問文の中に二つ以上の問いが含まれていると、回答者はどちらに答えればよいか分からなくなります。
例えば、「当社の製品のデザインと機能に満足していますか?」という質問は、デザインには満足しているが機能には不満、という場合に回答のしようがありません。
このようなダブルバーレル質問は、データとしての価値を失うため、絶対に避けるべきです。
この場合は、「製品のデザインに満足していますか?」と「製品の機能に満足していますか?」のように、必ず二つの質問に分割します。
わかりにくい質問はせず、一つの設問で一つの回答を求める原則を徹底します。

誰が読んでも同じ意味に捉えられる具体的な言葉を選ぶ
質問文では、解釈の幅が広い曖昧な言葉を避け、具体的で明確な表現を用いることが重要です。
「最近」「よく」「だいたい」といった副詞は、人によって捉える期間や頻度が異なるため、データの正確性を損なう原因になります。
例えば「最近、運動をしましたか?」と尋ねるのではなく、「過去1週間のうちに、30分以上の汗をかく運動をしましたか?」のように、期間や程度を具体的に定義します。
これにより、全ての回答者が同じ基準で回答できるようになり、得られたデータの信頼性が向上します。

専門用語や業界用語を避け、平易な表現を心掛ける
アンケートの質問文を作成する際は、作成者側にとって当たり前の専門用語や業界用語、社内用語を使っていないか注意が必要です。
対象となる回答者が、その言葉を知らない場合、質問の意味を正しく理解できず、回答をためらったり、離脱したりする原因になります。
例えば、IT業界のアンケートで「UI/UX」といった言葉を一般消費者に使うと、わかりにくい印象を与えます。
対象者の知識レベルを考慮し、誰にとっても馴染みのある、できるだけ平易な言葉で表現することを心掛けます。

回答者が迷わず選べる選択肢を作成する4つのポイント
質の高いデータを得るには、回答者が迷わずスムーズに選べる選択肢の設計が不可欠です。
選択肢が多すぎたり、意味が重複していたりすると、回答者はどれを選べばよいか分からず、回答しにくいと感じてしまいます。
選択肢の数や並び順、表現を工夫し、「自分の回答がない」あるいは「どれも当てはまる」といった状況をなくすことが重要です。
回答者の思考プロセスを妨げない、網羅的かつ排他的な選択肢作りを心掛ける必要があります。
選択肢の数は5つ前後を目安に設定する
質問に対する選択肢の数は、多すぎても少なすぎても問題があります。
選択肢が10個以上あると、回答者はすべてを比較検討するのに負担を感じ、回答の精度が落ちる可能性があります。
一方で、選択肢が2〜3個と少なすぎると、回答者の微妙なニュアンスを捉えきれず、実態と異なる回答に誘導してしまう恐れがあります。
一般的に、人が一度に無理なく認識・比較できる数は5〜7個程度といわれています。
そのため、アンケートの選択肢も5つ前後を目安に設定することで、回答者の負担を軽減しつつ、十分な情報を得られるバランスを保てます。

該当がない場合に備えて「その他」の項目も用意する
作成者が用意した選択肢だけでは、全ての回答者の状況や意見を網羅できないケースは少なくありません。
選択肢の中に当てはまるものがない場合、回答者は回答を諦めてしまう可能性があります。
こうした事態を防ぐため、「あてはまるものはない」「その他」といった選択肢を設けることが有効です。
さらに「その他」の項目には自由記述欄を併設することで、作成者が想定していなかった貴重な意見や新たな発見を得られることもあります。
回答の網羅性を高め、取りこぼしを防ぐ上で重要な項目です。

選択肢は時系列や関連性など論理的な順序で並べる
選択肢の並び順は、回答のしやすさに大きく影響します。
選択肢がランダムに並んでいると、回答者は全体像を把握しにくく、回答に時間と労力がかかります。
満足度を尋ねる場合は「とても満足・満足・どちらともいえない・不満・とても不満」のように段階的に並べ、頻度であれば「毎日・週に数回・月に数回・それ以下」のように多い順(または少ない順)で並べるのが基本です。
このように、時系列や五十音順、程度順など、質問内容に応じて論理的で一貫した順序で配置することで、回答者は直感的に内容を理解し、スムーズに回答できます。

選択肢どうしの意味が重複しないよう具体的に記述する
各選択肢は、互いに内容が重複せず、独立している必要があります。これを「排他性」と呼びます。
例えば、年齢層を尋ねる際に「①10代〜20代」「②20代〜30代」という選択肢があると、20代の人はどちらを選べばよいか迷ってしまいます。
この場合、「①10代」「②20代」「③30代」とするか、「①10〜19歳」「②20〜29歳」のように境界を明確に区切る必要があります。
どの回答者も、自分に当てはまる選択肢が必ず一つだけ見つかるように設計することで、回答の曖昧さを排除し、データの正確性を担保します。
回答者の負担を軽くするアンケート全体の構成とデザイン
分かりやすい質問文や選択肢を用意しても、アンケート全体の構成やデザインが回答しにくいものであれば、途中で離脱されてしまう可能性があります。
回答にかかる時間や質問数、スマートフォンでの見やすさなど、回答者の視点に立った総合的な配慮が不可欠です。
設問内容だけでなく、全体のボリューム感やレイアウトといった見た目の分かりやすさも、回答完了率を左右する重要な要素です。
最後までストレスなく回答してもらうための工夫を施す必要があります。
回答時間は5分以内を目安に質問数を調整する
回答者が集中して真摯に答えられる時間は、アンケートの目的や内容によって異なりますが、一般的には10分から30分程度が目安とされています。これを超える長いアンケートは、回答者の負担を増やし、回答の精度を低下させたり、途中離脱を招いたりする原因となります。アンケートを設計する際は、本当に必要な質問だけに絞り込み、全体の回答時間が回答者の集中力が持続する範囲内になるように調整するのが理想的です。
どうしても質問数が多くなる場合は、冒頭で所要時間を正直に伝え、回答者の理解を得るか、謝礼を用意するなどのインセンティブを検討することも有効な手段です。

質問が多い場合はテーマごとにページを分ける
Webアンケートで質問数が多い場合、すべての質問を1ページにまとめて表示すると、スクロールの長さに回答者が圧倒され、回答意欲を失いかねません。
これを防ぐためには、関連する質問をグループ化し、テーマごとにページを分割する手法が効果的です。
「基本情報について」「サービス満足度について」「ご要望について」のようにセクションを分けることで、回答者は心理的な負担が軽減されます。
また、進捗状況がわかるプログレスバーを表示すると、ゴールまでの見通しが立ち、回答を続けるモチベーション維持に繋がります。

スマートフォンでも回答しやすいレイアウトを意識する
近年、アンケートはパソコンよりもスマートフォンで回答される機会が増えています。
そのため、スマートフォンの小さな画面でも快適に操作できるレイアウトは必須条件です。
文字サイズや行間が適切か、選択肢のラジオボタンやチェックボックスが指でタップしやすい大きさかを確認します。
特に、マトリクス形式の質問はスマートフォンでは横幅が収まらず回答しにくくなるため、使用を避けるか、設問形式を工夫するなどの配慮が求められます。
あらゆるデバイスで見やすく、操作しやすいデザインにすることで、回答者のストレスをなくし離脱を防ぎます。

まとめ
質の高いデータを集めるためには、アンケートの目的を明確にし、企画段階から回答者の視点に立った設計を心掛けることが重要です。
質問文は具体的で平易な言葉を選び、選択肢は網羅的かつ排他的に作成します。
また、回答時間や全体のデザインにも配慮し、回答者の負担を可能な限り軽減する工夫が求められます。
これらのポイントを押さえることで、回答完了率とデータの信頼性を高めることが可能です。
アンケート作成ツールには、基本的な構成が整ったテンプレートも用意されているため、それらを活用しつつ、独自の目的に合わせて設問を調整するのも効率的な方法です。
アンケート設計から活用まで、オノフが伴走します
アンケートで本当に価値のある結果を得るには、
「わかりやすい設問を作ること」だけでなく、何を知り、どう意思決定や施策に活かすのかまで見据えた設計が欠かせません。
株式会社オノフでは、顧客インサイトを起点にしたアンケート・リサーチ設計から、
結果の分析、マーケティング施策やWebサイト・LPへの反映までを一気通貫で支援しています。
リサーチャー・プランナー・デザイナー・実装メンバーが連携する体制だからこそ、
「取って終わり」ではない、実務に活きるアンケート設計が可能です。
アンケート調査の設計に悩んでいる方や、
回答データをもっと有効に活用したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。