アンケート調査の報告書の作り方|わかりやすくまとめるための手順と注意点

アンケート調査の報告書は、結果をわかりやすくまとめ、ビジネスの意思決定に役立てるための重要な資料です。
しかし、初めて作成する方や経験が浅い方にとっては、どのような構成で、何を盛り込めば良いのか悩むことも少なくありません。
この記事では、読み手に伝わる報告書を作成するための具体的な方法と手順、そして注意すべきポイントを解説します。
適切な手順を踏むことで、説得力のある報告書を作成できます。
アンケート調査報告書とは?目的と役割
アンケート調査報告書は、実施した調査の結果を整理し、関係者に共有するための公式な文書です。
その役割は単に数値を並べるだけでなく、データから得られるインサイトを明らかにし、次のアクションを促すことにあります。
この報告書を作成する目的と、それがビジネスにおいて果たすべき役割を正しく理解することが、効果的な資料を作成するための第一歩です。
具体的な作成方法や手順に入る前に、その本質的な位置づけを確認しておきましょう。
調査報告書の目的は「結果を共有する」だけではない
調査報告書の最も重要な目的は、調査結果を基に意思決定を促し、具体的なアクションを創出することにあります。
単に「回答者の〇割がAと回答した」という事実を共有するだけでは不十分です。
その事実が何を意味し、ビジネス上のどのような課題や機会を示唆しているのかを解釈して伝えなければなりません。
例えば、顧客満足度が低いという結果が出たなら、その原因を深掘りし、改善策の方向性を示すところまでが報告書の役割です。
報告書は分析の終着点ではなく、次の戦略を立てるための出発点として機能します。

意思決定や施策検討のための“根拠資料”としての位置づけ
ビジネスにおける重要な意思決定は、個人の勘や経験だけでなく、客観的なデータに基づいて行われるべきです。
アンケート調査報告書は、まさにそのための「根拠資料」としての役割を担います。
例えば、新商品の開発方針を決める際、ターゲット層のニーズや競合製品への評価をデータで示すことで、開発チームは自信を持って判断を下せます。
同様に、マーケティング施策の効果測定や、既存サービスの改善点を洗い出す際にも、報告書は議論の土台となります。
信頼性の高い根拠として機能させるためには、調査設計の妥当性から分析の正確性まで、一貫した品質が求められます。

社内・クライアント向けなど、読み手に合わせた表現の重要性
調査報告書は、提出先の読み手によって最適な表現や構成が異なります。
例えば、経営層に報告する場合、詳細なデータ分析よりも、要約された結論や事業へのインパクト、具体的な提言が重視される傾向にあります。
一方、現場の開発担当者やマーケター向けであれば、より詳細なデータや分析プロセス、具体的な顧客の声などが求められるでしょう。
クライアントに提出する際は、専門用語の使用を避け、より平易な言葉で丁寧に説明する必要があります。
誰に何を伝えたいのかを常に意識し、情報の粒度や表現方法を調整することが、伝わる報告書を作成する上で欠かせません。

調査報告書を作る前に整理すべきこと

質の高い調査報告書を作成するためには、データ集計やスライド作成に着手する前の準備段階が極めて重要です。
この事前の整理を丁寧に行うことで、分析の方向性が明確になり、論理的で一貫性のある報告書を効率的に作成できます。
いきなり作業を始めるのではなく、まずは調査の原点に立ち返り、関係者と認識を合わせる手順を踏むことが、最終的なアウトプットの質を大きく左右します。
調査の目的・背景・仮説を明確にする
報告書の作成を始める前に、まず「なぜこの調査を行ったのか」という目的と背景を再確認します。
例えば、「若年層の自社ブランド認知度低下」という背景があり、「効果的なプロモーション施策を立案する」という目的があったはずです。
同時に、調査前に立てていた「SNSでの情報発信が認知度向上に有効ではないか」といった仮説も振り返ります。
これらの原点を明確にすることで、膨大なデータの中からどの結果を重視し、どのような切り口で分析すべきかという判断基準が定まります。
この手順は、報告書全体のストーリーに一貫性を持たせるための土台となります。

集計前に「伝えたいメッセージ」を決めておく
全てのデータを集計してから結論を考えるのではなく、分析に着手する前に報告書全体で「最も伝えたいメッセージ」を仮説として設定しておく方法が有効です。
調査目的と仮説に基づき、「今回の調査結果から、〇〇という結論が導き出せるのではないか」という核となる主張をあらかじめ考えておきます。
この手順を踏むことで、そのメッセージを裏付けるための分析計画が立てやすくなります。
例えば、「若年層には動画広告が最も響く」というメッセージを伝えたい場合、その根拠となるデータは何か、どの属性と比較すれば説得力が増すか、といった視点で効率的に分析を進められます。

データ整理と分析方針を共有しておく
特にチームで報告書を作成する場合、事前にデータ整理と分析の方針を共有しておくことは、手戻りを防ぎ効率化を図る上で不可欠な手順です。
まず、アンケート結果のローデータをどのように扱うか、例えば異常値や無効回答の処理ルールを決めます。
次に、どのような軸で集計を行うか(単純集計、クロス集計の変数など)や、自由回答の分類方法といった分析の具体的な方針について合意形成を図ります。
この共通認識があれば、各担当者がバラバラの基準で作業を進めてしまう事態を避けられます。
認識の齟齬をなくし、一貫性のある分析を担保するために、この手順は省略すべきではありません。

アンケート結果のまとめ方(データ整理の基本)
調査の目的やメッセージが明確になったら、次はいよいよ実際のアンケートデータを整理・分析する段階に入ります。
集計した数値をそのまま並べるだけでは、読み手にとって理解しにくいものになってしまいます。
ここでは、データを分かりやすく加工し、説得力のある形にまとめるための基本的な手順とテクニックを解説します。
定量データと定性データ、それぞれの特性に合わせた整理方法を習得することが、質の高い報告書作成につながります。
定量データ(数値・グラフ)の整理と要約
選択式設問などの定量データは、まず単純集計を行い、全体の傾向を把握します。
次に、性別・年代・居住地といった回答者属性でクロス集計を行うことで、より深いインサイトを発見できます。
この手順で得られた数値は、表だけでなく、グラフを用いて視覚的に表現するのが基本です。
項目の比較には棒グラフ、構成比には円グラフや帯グラフ、時系列の変化には折れ線グラフといったように、示したい内容に応じて最適な形式を選択します。
グラフには必ずタイトル、サンプルサイズ(n数)、単位を明記し、伝えたいポイントを色で強調するなどの工夫を加えます。
そして、グラフから読み取れる事実を簡潔な文章で添えることも忘れてはなりません。

定性データ(自由回答)の分類と傾向のまとめ方
自由回答に代表される定性データは、回答者の生の声が詰まった情報の宝庫です。
これを整理するには、まず全ての回答に目を通し、内容が類似するものをグループに分類(カテゴライズ)する作業を行います。
この作業はアフターコーディングとも呼ばれ、どのような意見が、どのくらいの量存在するかを把握するのに役立ちます。
各カテゴリーの出現頻度を数えれば、意見のボリュームを定量的に示すことも可能です。
報告書には、各カテゴリーの要約と共に、その内容を象徴するような具体的なコメントをいくつか抜粋して掲載すると、読み手の理解を助け、結果にリアリティを与えられます。

結果をストーリーで見せる「見出し」づくりのコツ
報告書のスライドやセクションに付ける見出しは、読み手の理解を導く重要な要素です。
「問3の結果」のような事務的な見出しではなく、「高価格帯でも品質を重視する層が全体の半数を占める」のように、そのページで伝えたい結論や発見をメッセージとして掲げます。
このようにインサイトを見出しにすることで、読み手は詳細なデータを見る前に要点を瞬時に把握でき、その後の内容をスムーズに理解できます。
報告書全体の見出しを追うだけで、調査の主要な結論とストーリーが理解できるように構成するのが理想です。
見出しは単なる区切りではなく、分析結果の価値を伝えるための強力なツールとなります。

調査報告書の構成例
分かりやすく、説得力のある調査報告書を作成するためには、論理的な構成が不可欠です。
一般的に広く用いられている標準的な構成を知っておくことで、情報の整理がしやすくなり、読み手にとっても理解しやすい流れを作ることが可能になります。
ここでは、基本的な報告書の構成要素を5つのパートに分けて紹介します。
この型をベースに、調査の目的や報告先に合わせて内容を調整していく方法が効果的です。
① 概要(調査目的・対象・期間・方法)
報告書の冒頭には、調査の全体像を簡潔にまとめた「概要」を配置します。
このセクションは、読み手が報告書の内容を理解するための前提情報を提供する役割を担います。
具体的には、「調査目的」「調査対象(性別、年代、居住地など)」「調査期間」「調査方法(インターネットリサーチ、会場調査など)」「有効回答数(サンプルサイズ)」といった項目を箇条書きなどで分かりやすく記載します。
これらの情報が明確に示されていることで、調査の信頼性が担保され、読み手はどのような前提で結果を解釈すればよいかを正確に把握できます。

② 結果(主要設問・クロス集計・コメント抜粋)
報告書の中核をなすのが「結果」のパートです。
ここでは、調査で得られたデータを客観的な事実として提示します。
ただし、すべての設問結果を網羅的に掲載するのではなく、調査目的や仮説検証に深く関わる主要な結果に絞って構成します。
単純集計で全体の傾向を示し、次にクロス集計を用いて属性ごとの特徴を深掘りするのが一般的な方法です。
グラフや表を効果的に活用して視覚的に分かりやすく示し、そこから読み取れる事実を端的な文章で補足します。
また、自由回答から象徴的なコメントを抜粋して加えることで、結果に具体性と説得力をもたらします。

③ 考察(結果の意味・背景・仮説との比較)
考察は、報告書の付加価値を大きく左右する重要なパートです。
示した客観的な結果が、一体何を意味するのかを分析者の視点で解釈し、記述します。
例えば、特定商品の満足度が低いという結果に対し、その背景にあるであろう要因(価格、機能、デザインなど)を他の設問結果や市場環境と照らし合わせながら推察します。
また、調査前に立てた仮説と実際の結果を比較検証し、仮説が支持されたのか、あるいは想定外の発見があったのかを明らかにします。
複数の結果を結びつけて、新たなインサイトを導き出すことが、このセクションで求められる方法です。
④ 提言(改善策・次のアクション)
「提言」は、調査結果と考察から導き出された結論を基に、報告書の読み手が次に取るべき具体的な行動を提案するセクションです。
アンケート結果を分析して明らかになった課題に対し、
「〇〇という施策を実施すべき」
「△△について、さらに深掘り調査を行うべき」
といった形で、具体的なアクションプランを示します。
提言は実現可能性を考慮し、調査目的と直接的に結びついている必要があります。
このパートがあることで、報告書は単なる分析レポートで終わらず、ビジネスを前進させるための実用的なツールとしての価値を持ちます。
課題と解決策を明確に提示し、意思決定を後押しします。

⑤ 付録(設問票・集計表・出典)
付録は、報告書の本文には盛り込まなかった詳細な補足情報をまとめるためのセクションです。
本文では要点に絞ったグラフや抜粋データを掲載しますが、全ての集計データや設問票そのものは付録に配置します。
具体的には、実際に使用した調査票の全文、全設問の単純集計表やクロス集計表、自由回答の一覧などがこれにあたります。
これらの詳細なアンケート結果を添付することで、報告書全体の透明性と信頼性が向上します。
また、読み手が内容をより深く掘り下げたい場合や、異なる視点でデータを確認したい際の参照資料としても機能します。

わかりやすい調査報告書を作るポイント

調査報告書の構成が固まったら、次は内容を「いかに分かりやすく伝えるか」という表現の工夫が重要になります。
どんなに優れた分析を行っても、そのアンケート結果が読み手に正しく伝わらなければ意味がありません。
ここでは、情報を効果的に伝え、読み手の理解を促進するための具体的なポイントを解説します。
視覚的な工夫やメッセージの絞り込みによって、報告書の説得力は格段に向上します。
1スライド1メッセージの原則でまとめる
報告書をスライド形式で作成する場合、「1スライド1メッセージ」の原則を徹底することが極めて有効です。
1枚のスライドに複数のグラフや多くの情報を詰め込むと、要点がぼやけてしまい、結局何が言いたいのか伝わりにくくなります。
各スライドで主張したい結論を一つに定め、そのメッセージをスライドタイトルに掲げます。
そして、そのメッセージを裏付けるアンケート結果としてのグラフやデータを配置するという構成にします。
この原則を守ることで、各ページの役割が明確になり、読み手は情報をスムーズに消化できます。
情報量をあえて絞ることで、最も伝えたいポイントが際立ちます。

グラフや図解を使って「一目で伝わる」構成に
人間は文字の羅列よりも、視覚的な情報の方が素早く直感的に内容を理解する特性を持っています。
そのため、調査結果を伝える際には、グラフや図解を積極的に活用するべきです。
回答の比率を示すなら円グラフ、項目間の数値を比較するなら棒グラフといったように、データの特性や伝えたい内容に応じて最適なグラフ形式を選択する方法が基本です。
複雑な関係性やプロセスを説明する際には、相関図やフローチャートなどの図解を用いると、文章で説明するよりも格段に分かりやすくなります。
色使いを工夫して重要な箇所を強調するなど、視覚的な配慮が理解を助けます。

結果を並べるだけでなく「意味を示す」解釈を添える
優れた報告書は、単なるデータの列挙で終わりません。
「20代の満足度が60%だった」という客観的な事実(ファクト)を提示するだけでなく、その事実が「何を意味するのか」という解釈(インプリケーション)を添えることが、報告書作成者の重要な役割です。
例えば、「競合他社の同調査では20代満足度が40%であることから、当社の製品は若年層に強く支持されていると言える」のように、背景情報や比較対象と結びつけて意味合いを解説します。
この一歩踏み込んだ解釈を加えることで、データは単なる数字から意思決定に役立つ情報へと価値を高めます。
報告書の文章・表現の書き方
報告書の信頼性や説得力は、データや構成だけでなく、それを記述する文章の質にも大きく左右されます。
不正確な表現や分かりにくい文章は、読み手に誤解を与えたり、内容の価値を損なったりする可能性があります。
ここでは、客観的かつ論理的で、読みやすい文章を作成するための具体的な方法を紹介します。
適切な言葉を選び、簡潔に記述する技術が、報告書の完成度を高めます。
主観を避け、「結果→理由→示唆」で整理する
報告書における文章は、客観性を保つことが大前提です。
「~と感じた」「~に違いない」といった主観的な表現は避け、
「データから~ということが示された」のように、事実に基づいた記述を徹底します。
文章を構成する際は、
「①結果:〇〇という事実が明らかになった」→
「②理由・背景:その要因として△△が考えられる」→
「③示唆:このことから□□という点が重要になる」
という論理的な流れを意識する方法が有効です。
この構造で記述すると、読み手は書き手の思考プロセスを追いやすくなり、結論への納得感が高まります。
あくまでデータという根拠に基づいて論理を展開します。
適切なタイトル・小見出しで読み手の理解を助ける
報告書におけるタイトルや小見出しは、内容の要点を伝え、読み手の理解を導くナビゲーターの役割を果たします。
「第1章調査結果」のような漠然とした見出しではなく、「ブランドイメージは『信頼性』で競合を圧倒」のように、そのセクションで伝えたい核心的なメッセージを具体的に示す方法が効果的です。
読み手はこれらの見出しを拾い読みするだけで、報告書全体のストーリーや要点を把握できます。
特に、時間のない読み手にとっては、見出しが内容理解の大部分を占めることもあります。
内容を的確に要約した見出しを付けることは、読み手への配慮であり、伝達効率を高める技術です。

論理性を保ちながらも簡潔な文体で書く
報告書の文章には、論理的な正しさと同時に、簡潔で分かりやすい表現が求められます。
これを実現する基本的な方法として、一文を短くすること(読点を適切に使う)、主語と述語の関係を明確にすること、そして専門用語を避け平易な言葉で記述することが挙げられます。
また、「結論から先に述べ、次にその理由や具体例を説明する」という構成を意識すると、要点が伝わりやすくなります。
冗長な修飾語や曖昧な表現を排除し、事実を正確かつ端的に伝えることに集中します。
無駄のない洗練された文章は、報告書全体の信頼性を向上させる効果を持ちます。

まとめ|“伝わる調査報告書”は設計から始まる
優れた調査報告書は、単にアンケート結果をまとめるだけの作業ではありません。
その質は、調査目的の明確化、分析方針の策定、そしてメッセージの設計といった、作成前の「準備段階」で大きく左右されます。
読み手に意図を正確に伝え、次のビジネスアクションを促すためには、データをどう見せ、どう解釈するかという戦略的な視点が不可欠です。
本記事で紹介した方法や手順を参考に、価値ある報告書の作成を目指しましょう。
目的と読み手を意識した報告書づくりが成果を左右する
調査報告書を作成する上で最も根本にあるべきは、「この報告書は何のために作るのか(目的)」そして「誰に何を伝えるのか(読み手)」という二つの視点です。
目的が明確であれば、分析の軸がぶれることなく、報告書全体に一貫したストーリーが生まれます。
また、読み手の役職や知識レベルを想定することで、盛り込むべき情報の粒度や用いるべき表現方法がおのずと決まります。
どんなに精緻な分析方法を用いたとしても、この二つの視点が欠落していると、独りよがりで伝わらない資料になってしまう可能性があります。
成果を生む報告書は、常に目的と読み手から逆算して設計されます。
データを「どう見せ、どう活かすか」が重要
アンケート結果という生のデータは、それ自体が直接的な価値を持つわけではありません。
そのデータをいかに加工し、意味のある情報へと昇華させるかが、報告書作成者の腕の見せ所です。
そのためには、適切なグラフを用いてデータを視覚的に分かりやすく「見せる」技術と、そのデータからインサイトを抽出し、具体的なアクションプランにまでつなげて「活かす」という二つの側面が求められます。
調査は報告書を完成させることがゴールではなく、そのアンケート結果が組織の意思決定に貢献し、具体的な成果に結びついて初めてその役割を果たしたと言えます。

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